2021年6月6日日曜日

普段は「いない人」だが……

  メンデルスゾーンという作曲家は私にとって普段は「いない人」である。つまり、積極的に作品を聴きたくもなければ弾いてみたいとも思わないのだ(同じ部類に属するのが、たとえばショスタコーヴィチである)。が、ふと聴いてみたくなるときが稀にある。

 今日はその「稀な」ときで、ピアノのための《6つの前奏曲とフーガ》作品35CDを取り出してきた。いや、何とも味わい深いすてきな音楽である。すると、他の作品にも触れたくなり、《夏至の夜の夢》や「イタリア」交響曲も随分久しぶりに聴いてみた。やはりすばらしい。

 が、それはまさに「一夜の夢」のごときものであり、明日からは再びメンデルスゾーンは私にとっては「いない人」に逆戻りする。決して彼の音楽が嫌いなわけでもなければ、その価値を認めていないわけでもないのに……。何とも「淡い」つきあいではあるが、それが完全になくなってしまうとすれば、それはそれで寂しいと思うのだから、まあ、勝手なものだ。