たまたまYouTubeで次のものを見つけた:https://www.youtube.com/watch?v=CCGPxMI1eC0。作曲者の増田宏三(1934-2006)はパリで学んだのち、長らく国立音楽大学で教鞭を執っていた人であり、「書式」の教科書を著している(「学習ソナタ」の本に私は目を通したことがあるが、まことに明快な記述であった)。この《ニ調の交響曲》は全くの調性音楽、それも20世紀後半の基準からすればかなり古い様式によるものだが、なかなかの佳曲だといえよう(第1楽章冒頭はルーセルの第3交響曲を思わせる)。
中央大学管弦楽楽団(つまり、アマチュアのオケ)のために書かれたとのことだが、そうなると演奏技術面でいろいろと配慮がなされているのだろうが、音楽面では何の不足も感じさせない。もっとも、昨今のアマチュアの技術水準はかなりのものであり、様式面でも守備範囲は広がっているはずなので、「アマチュア向け」の管弦楽作品を作曲家が書く場合にはもっと自由度が高いはずだ。というわけで、(以前にもここで述べたことだが)作曲家諸氏、とりわけ地方在住者は「ご当地アマ・オケ」のための作品を!