2021年8月23日月曜日

『鐘の鳴る丘』の主題歌

  先日、NHK-FMで『鐘を鳴らす子供たち』というドラマ(https://www.nhk.or.jp/audio/html_to/to2021001.html)を聴いたが、それは往年のラジオ・ドラマ『鐘の鳴る丘』がモチーフで、その主題歌も当然流れていた(https://www.youtube.com/watch?v=zEc5ViEq8XQ)。もちろん、自分が生まれるより20年近くまえのドラマをリアルタイムで知っているわけがないが、その歌だけはどこかで耳にしていたのである。ところが、この歌を(3学年だけ下の)妻に歌って聞かせると「そんな歌は知らない!」と言うではないか(この件に限らず、しばしば私は妻から「いったいいつの時代の人やねん」と言われる)。うーむ。

 この曲の作曲者は古関裕而(1909-89)だが、やはりこの人の音楽はすばらしい。一見平易に見えるが決して平凡でも俗でもなく、だがよい意味での大衆性があり、何よりも歌うなり聴くなりすると明るい気分になれるところがよい。ほぼ同世代の歌謡曲の大家に古賀政男(1904-78)がおり、この人もなかなかの作曲家だと思うが、私は断然、古関の音楽の方を好む(もちろん、逆の好みの人もいよう)。そして、「歌」の力というのはすごいものだなあと思う。

 

 イヴォンヌ・ロリオ=メシアン(1924-2010) が弾くショパンのエチュードの録音を聴くたびに思う。「なぜ、12曲だけではなく、27曲すべて録音しておいてくれなかったのか?」と。それほどに見事な演奏なのだ。そのCDは13枚組のうちの1枚で、同じ盤にはシューマンの《ノヴェレッテン》が収められており、これも実によい。ロリオというとどうしても「メシアンの演奏家」というイメージが強いが、この13枚組を聴くと、彼女がすばらしい音楽家であり、メシアン以外でも魅力的なピアニストだったということがよくわかる(ブゥレーズの第2ソナタでさえ実に優美に弾いてのけている)。ああ、生で聴いてみたかったなあ。