2020年9月16日水曜日

高橋悠治の《オルフィカ》(1969)が再演されたのだとか

高橋悠治(1938-)の管弦楽曲《オルフィカ》(1969)が再演されたのだとか(https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/feature/summer2020/producer_orchestra.html)。この演奏会のことは先日、たまたま知ったのだが、東京近辺在住ならば間違いなく聴きにいっただろう。この曲は少年時代にとても好んでおり、今でも時折CDで聴いている(次の演奏を:https://www.youtube.com/watch?v=dtWiio-8jMA)。特殊な楽器編成・配置の作品なので、生で聴けばまた違った面白さがあったことだろう。

が、これを聴き逃したことにはさほど残念だとは思わない。というのも、現在の住まいから東京はあまりに遠く、仮に演奏会のことを知っていたとしても最初から「聴きに行く」という選択肢はなかったからだ。そして、実のところこれは今に始まったことではない。昔、地方在住だった頃から、こと演奏会に関しては遙か彼方の東京のことは最初から「別世界」だと思って自分の音楽生活を営んできており、それに別に格別の不満を覚えたこともなかった。当時は放送とレコード、そして、数少ない(だけに11回が貴重なイヴェントたりえた)演奏会でそれなりに豊かな音楽体験が可能だったのだから(今ならばそこにインターネットが加わっており、さらに豊かさが増している)。

現在の自分の住まい大阪であり、地方よりは演奏会の数は多いので、その気になればいろいろ実演を聴くことは(自分の経済状況が許せば)できなくはないわけだが、なぜかさほど出かけたいとは思わない(これはコロナ禍がなくとも同じこと)。考えてみれば、これには出不精(や金欠)だけではなく、「演奏会というのはごく限られた貴重なイヴェントだ」という昔に身についた感覚がいまだに抜けきらないということもあるのかもしれない。