少しばかり涼しくなってくるとマックス・レーガー(1873-1916)のような音が「込み入った」重厚な音楽が聴きたくなる(こうした音楽は暑い夏の間はとてもじゃないが聴く気がしない)。今日はまだ蒸し暑いが、それまでに数日わりと涼しい日があったので、そのレーガーのオルガン曲をいくつか聴いていた。
昨日聴いていたのは《自作主題による序奏、変奏とフーガ》op. 73(1903)という大曲である(https://www.youtube.com/watch?v=LnT94g8nqa0。ただし、私が聴いたのはこの演奏ではなく、ドイツのオルガニスト、ロザリンデ・ハースによるものすごい演奏)。堅固な音の構築もさることながら、それを内側から食い破ろうとするかのような強烈なパトスに圧倒される。これはレーガーの他の作品にも言える点であり、この「パトス」を受け入れられるかどうかが彼の音楽を愛せるか否かの分かれ目となろう。
さて、日本でこうしたレーガーのオルガン曲をまとめて聴くとなると、CD(LP)かインターネットに頼るしかない(東京でもなかなか難しかろう)。いや、レーガーに限らず、かなり多くの作品についても同じことがいえる(その点では演奏会で実演が聴けない作品をSP盤やラジオ放送で聴いていた昔々の日本の聴き手と何ら変わるところはない)。もちろん、「実演で聴ければいいなあ」と思わないでもない作品はあれこれあるが、人生の時間は(そして、お金も)限られているので「あれもこれも」というわけにはいかない。となると、後は「ご縁」次第であり、それもまたよし、'C'est la vie.'だ。