2020年9月15日火曜日

マデルナ生誕100年だというのに

 今年生誕100年のイタリアの作曲家・指揮者ブルーノ・マデルナ(1920-73)だが、何か作品の新録音が出たり、昔の指揮者としての録音がまとめられたりするかと思いきや、今のところ何もないようだ。まあ、世界はコロナでそれどころではないのかもしれないが、ベートーヴェンの生誕250年にはそれなりにエネルギーは割かれているのだから、些か理不尽な気がしないでもない。マデルナは20世紀後半の作曲家・指揮者としてまことに偉大な存在なのだから(「作曲家」としてのみならず、「指揮者」としてもマデルナの方がブゥレーズよりも私にとっては遙かに興味深いし面白い)。

 マデルナの作品はいわゆる「現代音楽」なのであまり好まない聴き手も多かろうが、彼が指揮した古典の演奏ならば楽しめる人は少なくないはずだ。以前、(今はない)Arkadiaというレーベルからかなりの量のCDが出ており、そこには古典、ロマン派、近代の名曲・名演がいろいろと含まれていた(私はそのCDでマーラーやドビュッシ、その他の演奏を楽しんでいる)。これに限らず、マデルナが残した少なからぬ録音(you tubeでもいろいろ聴くことができる)をまとめ直すとすれば、「生誕100年」というのが絶好の機会だったわけだが……。となると、3年後の「没後50年」に期待するしかあるまい。

 今日は久しぶりにそのマデルナの作品《クヮドリヴィウム》(1969) をジュゼッペ・シノーポリ指揮の録音で聴いた。金澤(当時は「中村」)攝さんに初めて会ったときに貸してくれたのがこの録音のLP(とリュック・フェラーリの《ほとんど何もなし 第1番》を収めたLP)だったことを懐かしく思い出す。