電子ピアノは今のところクラシック音楽の世界では「ピアノの代用品」に留まっているが、思い切って電子オルガン並に機能を増やしたらよいのではないだろうか(「ハイブリッド電子ピアノ」! 現在の楽器メーカーの技術ならば、それは可能なはずだ)。ピアノに近いタッチの楽器で現在の電子オルガン並に多種多様なこと――それこそ「1人オーケストラ」――ができるとなれば、「人と同じような曲を大して変わらない解釈で弾く」ことに飽き飽きしたクラシックのピアニストの中からそれを独奏楽器として用いる演奏家が現れるに違いない。
電子オルガンにしたところで、もっと普通のクラシック音楽の演奏会で活用されればよいと思う。あれだけのいろいろなことができるわけだから、うまく使えば面白いことができるはずだが、クラシックの世界で「電子オルガン奏者」というのを私は寡聞にして知らない。普通の「(パイプ)オルガン」がよい状態で使える演奏会場などごく限られているのに対して、電子オルガンならばどこにでも持ち込めるわけだから、これでどんどんオルガン名曲のみならず、種々の編曲もの、そして、この楽器のための新作を弾けば、十分演奏会として成立するのではなかろうか。