「癒やし」という言葉はあまり好きではないが、確かに心身ともに疲れたときにはそうしたものが欲しくなることはある。そして、たとえば次のような音楽が聴きたくなる:https://www.youtube.com/watch?v=cgP0PJ749ww)。これはオランダに生まれ、パリで学び、そののち英国で活躍した作曲家エドゥアール・シラス(1827-1909)の《マルヴィーナ――ロマンス――》作品75(1870 もしくは71)というピアノ曲だ。昔々、初めて(例によって中村(金澤)攝さんの生演奏で)聴いたとき、即座に魅せられてしまった。こうした「小品」の魅力というのはちょっと言葉にしにくい。無理に言葉にしようとすると、どこか嘘くさくなってしまう。それゆえ、とにかく聴くか、あるいは弾いてみて「味わう」しかないのだ。