作品のすべてが名曲である作曲家などいない。とりわけ、作品数が多い人であれば、なおのことそうだ。が、「すべてがホームラン」は無理でも、かなりの割合で「クリーン・ヒット」を放てる作曲家はいた。そうした人は「芸術家」というよしも、むしろ「職人」気質の人に多いようだ。ストラヴィンスキーもそうした者の一人だろう。
ストラヴィンスキーの作品を見渡して唸らされるのは、その「職人芸」の水準の高さである。どんな小曲でも、とにかくよく書けているし、何かしら面白いところが必ず1つはある(その点ではヒンデミットも同類だと言えよう)。
ところが、残念ながら実演で取り上げられる彼の作品の数は必ずしも多いとは言えない。「三大バレエ」を含むかなり限られた作品は好んで演奏されているが、少なからぬ「その他」の作品は滅多に演奏会では聴けない。これはとても残念なことだ。
もっとも、それには「著作権使用料」の問題も大いに与っていよう。ストラヴィンスキーは1971年に亡くなっているので、今年でちょうど没後50年。ベルヌ条約の以前の規定ならば、第二次大戦の敗者たる日本など数カ国を除く国々では来年(日本ならばその10年後)から使用料不要になっていたはずなのに、今や著作権の保護期間が70年に延びてしまったので、まだまだ作品の使用料とは縁を切れないわけだ。となると、やはり「人気曲」優先ということにならざるをえまい。
となると、ストラヴィンスキーの実演ではあまり取り上げられない「佳曲」の数々はディスクや楽譜などで楽しむしかないが、まあ、仕方があるまい。この世に数多ある理不尽の中で、これは格段に程度の軽いものだから(おっと、すっかり話が本題から逸れてしまった)。
この人は都合の悪いことからは常に逃げ続けてきたが、今回もやはり:https://news.yahoo.co.jp/articles/c534b0dd9417a8902e8d67f3eb7657dbec80f846。こんな人が返り咲くことがあるとすれば、そんな国はもうおしまいである。
これもまた何とも「けったいな」話である: https://news.yahoo.co.jp/articles/d420abec20371fde732c2c78216cfd322f4ac553。