英国のトーマス・アデス(1971-)が1990年代前半、つまり、若者だった頃に書いた作品を収めたCDを随分久しぶりに聴いた(たとえば、次の作品など:https://www.youtube.com/watch?v=rJoMNSRu6Ss)。初めてこの人の音楽に触れたときは即座に魅せられたが、その後、長らく関心を失っていた。が、改めて聴いてみると、いずれの作品も素直に楽しめる。深い感動や何かとんでもない驚きをもたらす類の音楽ではないが、このアデスの「地に足の着いたについたモダニズム」はまことに好ましい。この点で(そして、優れたピアニスト、指揮者という点でも)彼はベンジャミン・ブリトゥンの紛う方なき末裔である。
そんなアデスも今年で50歳。近作は知らないので、これからいろいろと聴いてみたい。かつての「若き才人」はどう変貌したのだろうか。