いよいよ7月で、私の苦手かつ嫌いな暑い季節が本格的に到来した。この時期には普通のクラシック音楽など聴いてはいられない。例年、涼を求めて刺激的な現代音楽やギター音楽、そしてジャズを聴く比重がぐっと増える。
というわけで、今日もギターを。英国の名手ジュリアン・ブリーム(1933-2020)の40枚ボックスの1枚目The Art of Julian Breamを聴いた。このアルバムはとてもバランスのよい選曲がなされており、フレスコヴァルディ、マテオ・アルベニス、ドメニコ・スカルラッティ、チマローザといった古めの曲がA面(これはLPでのこと。手持ちのものはもちろんCD)、レノックス・バークリー、ロドリーゴ、ラヴェル、ルーセルといった20世紀の曲がB面に収められている。演奏もすばらしく、しばし暑さを忘れさせてくれる(とりわけ、バークリーのソナタが好ましい)。
ところで、以前から不思議に思っていることだが、この国の国公立の芸大にはギター専攻のコースがない。何ということだろう! 確かにこのギターという楽器は古典派以降のクラシック音楽の世界では些かマイナーな存在ではあるが、それでも20世紀に入ってからはかなりの名曲が書かれており、パリ音楽院やドイツの音大・芸大にもギター科はあるのだ。ならば、なぜ東京芸大にギター科がないのだろう? これは素朴な私の疑問。