2021年7月27日火曜日

今日もまたクセナキスを

  今日もクセナキス、それも電子音楽を集めたCDを聴いた。1950年代と60年代の作品が2つずつ、それに70年と92年の作品が1つずつ収められたものだ(もはや生産中止なのだが、You Tubeに音源があったので、ここにあげておく:https://www.youtube.com/watch?v=JvZyvs2OEbs)。

 80年代のはじめ頃によく行っていた金沢市内の某名曲喫茶には現代音楽のLPも少なからずあり、そこで初めてクセナキスの電子音楽に触れたのだが、そのときの衝撃と感動は忘れられない。実際には「過去」の作品であるにもかかわらず、そこには「未来」が示されているように当時は感じたものだ。今ではそれとは違ったふうに聞こえる(この点については昨日話題にした)のだが、それもまたよし(なお、同じ「過去の」作品であっても、普通の楽器や声のための作品に比べ、電子音楽の方が格段に「レトロ」に聞こえる。テクノロジーの急速な変化のゆえであろう)。面白いからこうして聴き続けているわけだ。

 

 その「名曲喫茶」(現在でも店舗は残っているが、経営者が替わり、実質的には別の店になっている)では私は現代音楽の音盤をリクエストすることが多かった。実演はもちろん、音盤でもそうそう現代音楽に触れられなかった当時の地方在住者にとっては、この喫茶店はまさに渇を癒すオアシスのような存在であり、ここで初めて聴けた作品も少なくない。

 だが、あるとき、店主からこう言われた。「この手の音楽はできれば他のお客さんが少ないときに頼んでくれると助かるのだけれど……」。ごもっとも、と「現代音楽」熱烈愛好者だった当時の私でさえ思った……。