2020年8月23日日曜日

ピンクのショパン

  ベーレンライター社のピアノ原典版は作曲家毎に表紙の色を変えている。まあ、一目でわかるという点では便利だし、目に楽しいものではある。

 が、先日、そのショパン作品の表紙を見て驚いた。ピンクなのである(https://www.baerenreiter.com/en/shop/product/details/BA9610/。実際の色はもっとどぎつい)。「ピンクのモーツァルト」ならぬ、「ピンクのショパン」! さすがにこれはあんまりだと思った。ドイツ・オーストリア系の作曲家にはそれなりに合った色が選ばれているのに……(先のリンク先から辿れば他の作曲家のピアノ曲の表紙も見られるので、興味のある方はお試しあれ)。

 「ピンクのショパン」ということですぐに思い浮かんだのがアルゲリッチの何とも刺激的で鮮やかな演奏だ(これはあくまでも私個人の感覚でのこと)。 

 

 音が色彩を喚起する「共感覚」というのはなかなかに面白い話である。これもあくまでも個人の感覚にすぎないものだが(人によって音と色の結びつきが異なるのだから)、作曲家で時折そのようなことを言う人はおり(たとえば、スクリャービンやメシアン)、それは彼らの音楽を読み解くヒントにはなろう。