8月6日を題材にした作品はいろいろあろうが、昔聴いた助川敏弥(1930-2015)の被爆ピアノと電子音による《おわりのない朝 1945. 8.6》(1983)が私にとってはもっとも印象深い(おっと、林光(1931-2012)の《原爆小景》(1958-2001)も忘れてはいけない。そういえば、2人は奇しくも同じグループ「山羊の会」のメンバーだ)。これに放送初演で触れ、そのエアチェックを繰り返し聴いたものだが、そのテープもやがて使い物にならなくなってしまった。CD化されたこともあったようだが、入手の機会を逃し、以来、ずっと聴いていなかった。
そこで試しにインターネットで検索してみると、naxos music libraryで聴けることがわかり(https://daion.ml.naxos.jp/work/1662677)、さっそく聴いてみる(このサイトは有料なのだが、幸い私は大学のサイト経由で聴くことができた)。最初の驚きはいまだ失われていなかった。いや、むしろ今の方がいっそう衝撃的に聞こえる。まだ一度もこの作品を聴いたことがない人にはどう聞こえるだろうか。naxos music libraryを利用できる人には是非とも一聴をお勧めしたい。
ピアノを家で弾いていても近所から「非国民」と罵られることもなく、英米の書物を電車の中で広げるのに周りに気兼ねする必要もない時代というのはありがたいものである――この時期だろうか、ふとそんなことを思う。