2020年9月30日水曜日

急にルベルト・ジェラルトの作品が聴きたくなって

 急にルベルト・ジェラルト(1896-1970)の作品が聴きたくなって手持ちの唯一のCDを取り出してきた。聴いてみると、やはり素晴らしい(https://www.youtube.com/watch?v=GA1DFKxSPQc)。何よりもその音の「運動」が実に面白い。どこか飄々としており、また、時にユーモラスであり……。

 ついでにAmazon で検索してみると、何ともうじき、そのジェラルトの文集(昨年ハードカヴァーで出ていたもののペーパーバック版)が出るとのこと(https://www.amazon.co.jp/Gerhard-Music-Selected-Writings-Roberto/dp/1138708402/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=roberto+gerhard&qid=1601451420&s=english-books&sr=1-1)。いや、まさにシンクロニシティだなあ。これは是非とも読んで見たい。

 このジェラルトを聴いた後、なぜか急にアンジェィ・パヌフニク(1914-91)の作品も聴きたくなり、やはり手持ちの1枚きりのCDを……。こちらも何とも魅力的だ(次にあげるのはCDとは異なる演奏:https://www.youtube.com/watch?v=ZUIT45QWEWY)。実は先のジェラルトとこのパヌフニクには共通点がある。つまり、前者はスペイン、後者はポーランド出身なのだが、ともに政治的な理由で母国を出ざるを得なくなり、いずれも英国に落ち着き、その地で没しているのだ。

 それにしても、こうした興味深い作曲家、作品が世の中には少なからずあり、また、自分が知らないものはもっと多い(こうしたものとの出会いは「ご縁」であり、人それぞれ違って当然である)。となると、いつも「お決まりの名曲」(が悪いというわけではないが……)ばかり聴いてもいられない。

2020年9月29日火曜日

「芸術」も悪くないが、「芸」も大切

 たまたまyou tubeで次の動画を見つけた:https://www.youtube.com/watch?v=DwjNL9xLtOE。素直に面白いなあと思う。クラシックのピアニストも「芸術」にばかり囚われず、こうした「芸」を身につけるとよいのではなかろうか。音楽の幅がぐっと広がり、他人の作品の演奏にもずっと深みも出るはずだ。いや、それどころか、そもそも「演奏」というものに対する考え方が変わってくるのではないだろうか。

2020年9月28日月曜日

いくら何でも5回目というのは

  ダニエル・バレンボイム(1942-)が5回目になるベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を録音し、もうじきCDが発売されるとか。これにはすっかり驚いてしまった。演奏家がベートーヴェンのソナタを繰り返し取り上げたいという気持ちはわからないではない。それに値する作品群だから。私が驚くのは、その「5回目の録音」を商品として発売するディスク制作会社(ドイツ・グラモフォン)の旧態依然たるセンスに対してである(まあ、5回も録音してしまうバレンボイムへの疑念が全くないといえば嘘になるが)。

1980年代までならば、「巨匠による名曲の再録音」は十分商品価値を持っていただろう。が、ただでさえディスクが売れなくなっているこのご時世に、いくらバレンボイムが名手だからとはいえ、5回目の「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集」がそれほど売れるわけがない。バレンボイムの熱烈なファンやベートーヴェンのピアノ・ソナタの録音マニアならばともかく、果たして普通の聴き手がこの新譜に手を伸ばすだろうか? ともあれ、その実売数がどうなるか、大いに興味が持たれるところだ(メーカーは公表しないだろうけれども)。

 ところで、私が所持しているベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集のCDを数えてみたら20組あった。これ以上、積極的に新たなセットをそこに加えたいとは思わない。が、そんな私に「これは欲しい!」と思わせてくれるような比較的若い優れたピアニストのCDが登場してくれることへの期待はある(が、それを積極的に探すことはせず、偶然の出会いを待つのみだ。他に聴きたい音楽、未だ知らない音楽はいくらでもあるのだから)。

 

 小室直樹(1932-2010) の『日本国憲法の問題点』(集英社インターナショナル、2002年)を読むと、なるほど確かにこの国での憲法に関する議論が大いに「ずれて」いることがよくわかる。とともに、義務教育で肝心なこと(「憲法」に限らず、世界の人々の行動原理たる宗教、政治、経済の基本)を何も教えていないことも……。