P. F. ドラッカーが説く「マネジメント」の視点からマイルズ・デイヴィス(1926-91)の音楽家人生を見て見ると、彼の偉大さが改めてよくわかる。自分の強みを活かし(駆け出しの頃、チャーリー・パーカーから「『ひとの真似をするぐらいなら、どうやったら自分の個性を表現できるかを考えろ。お前はスペースを生かしたフレージングにいいものがあるから、それに磨きをかけるべきだ』とアドヴァイスされた」(小川隆夫『マイルス・デイヴィスの真実』、講談社+α文庫、2016年、66頁)というが、確かにマイルズはとことんそれを磨き抜いた)、常に何かを学びつつけ、自分のバンドに常に才能ある若者を招き入れ、自身の音楽スタイルのイノヴェーションを計り続けたことから、あれだけの実り豊かな成果を生み出しているのだから。彼の音楽自体はもちろんすばらしいが、その「音楽家」としての生き方にも瞠目すべきものがある。そして、その両方から私たちはいろいろなことを学べるだろう。