2020年11月23日月曜日

まあ、そんなこともあるか……

 あるCDボックスの中に含まれていたディスクで、マーラーの第1交響曲の演奏時間が44分と表示されていた。普通は50分以上かかる曲なのに。そこで真相を確かめるべく聴いてみると、ピッチが半音高いではないか! 元の録音をCD化するときに処理を誤ったのだろう。これは実に困る。音楽が別物に聞こえるからだ。しかも、テンポも実際の演奏よりも速くなる(確かに半音高いと12平均律の場合、速度は 1.122462倍となり、なるほど、44分という演奏時間と合致する)。これはもはやどうしようもない。まことに残念。まあ、そんなこともあるか……(そういえば、昔、LP時代にSP盤から半音高く転写された盤が少なからずあったなあ。少年時代、めったに買えないレコードでそうしたものに当たったときは、心底落胆したものだ)。

 

 たぶん、今後(少なくとも)日本の経済状況が大きく好転することはまず(かなり長い間。もしかすると二度と!?)なかろう。 すると、クラシック音楽はその影響を受けないわけにはいかない。いろいろな場面でこれまでのさまざまな仕組みが立ち行かなくなることとなろう。普通の商業的な「演奏会」もその1つではなかろうか。もちろん、そうならないことを祈りたいが、それはそれとして、別の可能性も探らねばなるまい。私が「アマチュア」の音楽活動や「私的演奏協会」方式について言及するのも、そのためである(が、それだけでもない。既存の仕組みとは異なるものに興味と豊かな可能性を感じるからでもある)。生を充実させる手段として音楽が大切な人は(私を含め)少なからずいるだろうから。