2020年11月16日月曜日

《But Beautiful》は「しかし美しい」ではなかった

 今日は己の無知をさらけ出す話を……。ジャズのスタンダード・ナンバー《But Beautiful》の‘beautiful’が「しかし美しい」ではなく「それでもいい」という意味だったとは……。あるいは、《As time goes by》が「時の過ぎゆくままに」ではなく「時が過ぎても」だったとは……。

ジャズをほとんどヴォーカルではなくインストで聴いてきた私にとって、スタンダード・ナンバーを初めとする、「元々は歌だったが、器楽でも演奏されている」曲の歌詞は、気にはなりながらも、ずっと後回しにしてきた部分だった。が、音楽をもっと楽しみ、理解するためにはそれではいけないと思い、ご近所図書館で村尾陸男『ジャズ詩大全 1』(中央アート出版、1990年)というのを借りてきた。そこで、最初に述べた事実を知ったのである(自分の翻訳では'beautiful'という語を「すばらしい」とか「見事な」とかいうふうにも訳していたにもかかわらず、「しかし美しい」は気にしていなかったとは……)。いや、お恥ずかしい限り。同書はジャズの歌詞の原詩と訳詞をあげ、詩自体と曲の種々の背景について解説をした、まことに便利かつためになる名著だが(その巻数は何と20にも及ぶ!)、これから同書でいろいろ楽しくお勉強を……(お気に入りの曲については自分で歌えるようにもしたいものだ)。

 

翻訳の再校は存外たいへんだ。きちんと字数を勘定して校正したはずなのに、うまくいっていない箇所が散見されるので改めて字数を調整し直したり、新たに見つかった訳文の不備を訂正したりなど、とにかく気が抜けない。というわけで、まだ「賽の河原」からの脱出はできていなかったようだ(ため息)。ともあれ、一刻も早くここからの脱出を!