先日、チャールズ・ローゼン『古典派様式』の翻訳の初校を終え、今、再校を行っている。訳稿を一旦仕上げたのち、初校の段階で改めて徹底的に手を入れたのだが、それに思いの外時間がかかってしまった。とにかく長く辛い日々であり、まさに気分は「賽の河原」の幼子であり、シシュポスであった。が、そんな日々をようやく脱し、今は心穏やかに(しかし、細心の注意を払って)作業を進めている。
が、これも一刻も早く仕上げ、次は懸案の『音楽の語り方』を書きたいところだ。ここ数年、とりわけ、『演奏行為論』を書いたことで、自分が本当にやりたいこと、やるべきことがこの歳にしてやっと少し見えてきたように思っている。そして、それを『音楽の語り方』で一歩進めたい。思えば、昔々、学に志したときから随分遠いところ、思ってもみなかったところへ来てしまった。が、だからこそ「人生」というのは面白いのだとも言える。