2024年8月22日木曜日

メモ(116)

  昔は受け入れがたかったものが現在では好ましく感じられるようになる、ということは誰にでもあろう。あるいは逆に、まことに好ましかったものが、気がついてみると全く色褪せて見えたり、唾棄すべきものに思えたりすることも。

 こうした変化は人が生きている中で常に何かしら変わり続けている以上、避けがたいものだ。しかし、先にあげた2つの変化は異なる気分をもたらす(「絶対にそうだ」というのではなく、あくまでも傾向としてそのようなことがある)ように私には思われる。まず、「嫌→好」という変化の場合、何か思わぬ拾いものをしたような気分がしたり、自分の成長を実感できたりするなど、どこか肯定的な感情を生み出すのではなかろうか。他方、「好→嫌」という変化の場合、「そんなものを好んでいたなんて、以前の自分はいったい何を見て(聴いて)いたんだ!」というような、どこか否定的な思いをもたらすのではなかろうか。

 実のところ、今日は後者の「好→嫌」の変化に直面し、苦い思いを味わったところだ。昔はそれなりに好ましく感じていたピアニストが、今や「?」な存在になっていたことに気づいたのである(言うまでもないが、これはあくまでも私個人の感じ方の問題にすぎない)。そして、「昔の自分はいったい何を……」と思ったわけだ。が、それもまた人生。「転石苔むさず」ということで(この格言も2通りの意味に解されるが、ここではよい方の意味で)、肯定的に受け入れることにしよう。