少し前からE. T. A. ホフマンを楽しく読んでいる。これまでなんとなく敬遠してきたのだが、急にその作品が気になりだしたのだ。シューマンやチャイコフスキーをはじめ、ホフマン作品は少なからぬ作曲家の「ネタ」になってきた(もし、ホフマンがヒンデミットのオペラ《カルディヤック》を聴いたら、どう感じるだろうか?)。それゆえ、もっと早くに読み始めているべきだったのだが、仕方がない。「すべてのものには時宜がある」だ。
ホフマンの小説は個人完訳(深田甫・訳、創土社)があり、そのばら売りを古書で購っている(原文は試しにKindle版を買ってはみたものの、語句検索ができることを除けば、まことに使い勝手が悪い)。全11冊揃いだととんでもない値段がついているのだが、ばらならばかなり安い。すべてを揃えるのは難しいが、シューマン関連のものは手に入った。それを読んでいると、なるほど、確かにシューマンに相通じるところが感じられて、面白さがいっそう増す。
作曲家の湯浅譲二氏が先月亡くなっていたことを先ほど知った。かくして「現代音楽」の時代はますます遠くなりにけり、である(私がもっとも好む湯浅作品は《芭蕉の句による情景》(1980-89)だ:https://www.youtube.com/watch?v=AdzrBQRoWVU)。