2024年11月27日水曜日

メモ(131)

  作曲家の生涯にわたる創作の軌跡を後世の者は「必然」だとみなしがちである。それは最終到達地点からの因果関係によって物事を理解しようとするからだろう。だが、その「地点」とは別のところに進む可能性だってあったはずなのだ。

そうした「実現しなかったものの、もしかしたらそうでありえたかもしれない潜在的な可能性」を「円熟期」以前の作品から読み取ろうとすることで、お馴染みの作曲家の音楽はそれまでとは異なる相貌を現すことになろう。