少し前に「物事の良し悪しと好き嫌いは別次元の事柄」と題した投稿をした。とはいえ、実のところ私は(ウィリアム・ジェイムズ同様)「事実判断」と「価値判断」を完全に切り離すことはできないと考えている。
にもかかわらず、前述のような文章を書いたのは、自分の価値判断を絶対視することの危険性を述べたかったからだ。言い換えれば、人は自分が変われる可能性を確保しておくべきだと考えたからだ。
メンデルスゾーンのピアノ独奏曲はごく一部の作品を除き、必ずしも人気のあるレパートリーではない。が、それは作品の出来が悪いということではなく、現在のピアニストや聴き手にとって何かしら魅力に欠けるということなのだろう(ちなみに、その演奏に際してははったりやごまかしが全く効かない)。同じことは彼よりも少し前の時代のポスト古典派の作曲家についても言える。すなわち、フンメル、ヴェーバーやチェルニーなどのなどがそうだ。
とはいえ、いずれ潮目が変わり、彼らの作品がある程度人気を博するときがやってくるかもしれない。