このところ世の一部を賑わしている「ストリート・ピアノ」問題だが、今回の件だけで終わらせず、公共の場における音の取扱いについて議論がもっと広がり、深まればよいと思う。商業施設で垂れ流されるBGM、アナウンス、そして、もちろん選挙カーによる候補者名の連呼など、この国の音環境については考えてみるべき問題は多い。
小・中学校の「音楽科」でもこうした問題を扱うべきだろう。その際、何か1つの答えを押しつけるのではなく、身近なところにある問題の所在を確認し、児童・生徒がそれについて考え、議論できる機会であることが肝要だ。そして、それはたとえばベートーヴェンの「運命」交響曲や伝統邦楽を表面的にのみ学ばせることよりも格段に重要なことだと私は思う。