第2集に収められる《オルフィカ》をこれまで私は岩城宏之指揮、NHK交響楽団の録音で聴いてきたが、それと今回の新録音(演奏自体は5年前のもの)の違いに大いに興味が持たれるところだ。前者の演奏は「現代音楽」全盛期のものであり、後者はそうした時代がもはや歴史の一齣となってからのもの。どちらにも一長一短あろうが、聴き比べればいろいろと発見があることだろう。
それにしても、私が《オルフィカ》をLPで聴いていた頃はこの曲が生まれてからまだ十数年しか経っていなかったが、それから何と40年以上の時が過ぎた。その間に「現代音楽」はものの見事に没落してしまった。 だからこそ、私は(あくまでも)昔の「現代音楽」を普通のクラシック音楽と同様に心穏やかに楽しめるのかもしれない。同時代の作品ではほとんど感動を味わえない寂しさを覚えつつも。