2025年3月17日月曜日

メモ(143)

  言葉で虚構を語ることができる。絵でも実在しないものを描くことはできる。では、音楽に虚構を生み出すことができるだろうか。

 たとえば、「ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第33番」(つまり、実際には書かれていない作品)とか、「ヴァントゥイユのヴァイオリン・ソナタ」(小説の登場人物の作品)とかいったものは、あるいは「架空の民族の音楽」などは虚構である。いずれも何か具体的な設定(物語)の上に成立するものだ。

 では、そうしたものとは異なる虚構についてはどうだろうか。果たしてそのようなものが可能だろうか。もし、そうだとすれば、それはどんなものだろうか。