次にあげるのはリストの《愛の夢》第3番をドイツ人ピアニストが弾いたもの:https://www.youtube.com/watch?v=BByu4FojkHw。
この同じ曲を国際的に活躍する日本人ピアニストの演奏で聴いてみよう:https://www.youtube.com/watch?v=r5hZEtB7qdg。
さて、この2人のピアニストの演奏を聴き比べて、前者を好むという人もいれば、後者がよいと感じる人もいるだろう。それは聴き手の好みの問題であり、どちらか一方の演奏が絶対的に良いということも悪いということもない。どちらもそれぞれに立派な演奏である。
ところで、この有名なピアノ曲の原曲は同じ作曲者の歌曲《おお、愛せるかぎり愛せよ!》である:https://www.youtube.com/watch?v=h8AFIoD9raM。これを何度か歌の強弱リズムとイントネーションに注意しながら繰り返し聴いた上で、もう一度上の2つのピアノ演奏を聴く比べていただきたい。すると、両者のピアノでの「歌い方」――2人めの流儀は多くの日本人ピアニストが共有しているもの、つまり、「日本語のリズム」に基づくもの――の違いが聞こえてくるはずだ(繰り返すが、その「違い」は演奏の良し悪しとは別次元の問題である)。