2025年3月7日金曜日

メモ(142)

  「本当に日本にオペラを根付かせたいのなら、圧倒的にすばらしいインパクトのある、日本語による、日本の現代オペラ作品の存在が必要なのではないか」というのは正論ではあろう(大友直人『クラシックへの挑戦状』、中央公論新社、2020年、83頁)。しかもそうしたオペラが「目の前の聴衆が喜んでくれるか、感動してくれるかを大事にする」(同、86頁)ものでなければならないという点にも大いに頷ける。

だが、それはそれとして、日本語のテキストによるオペラではなく、それとは異なる、もっと日本語や日本語的演奏の現実に即した音楽劇というものがあってもよいのではないだろうか? 母語であるにもかからわず字幕を必要とするようなものではなく、すっと言葉と音楽が耳に入ってきて、自然にドラマに引き込んでくれるような作曲様式と歌唱様式による音楽劇が。