「人は皆、それぞれに異なる世界に生きている」ということは以前、ここで述べた。そして、このところその実感が自分の中でますます強まっている。
その「実感」には別に否定的な意味はなく、「人と人は所詮、根本ではわかりあえないのであって、ならば各人は他人のことなど一切気にしないでいくしかない」などと考えているわけではない(私は「自分さえよければよい」という、このところますます猖獗を極めつつある「新自由主義」には与しないし、「自助」という名の「弱者切り捨て」にも反対だ。が、かといって、社会主義も信用していない)。
生きる「世界」は異なってはいても、人が他人と関わりを持たずに済ますのは無理な話。それゆえ、「世界の違い」を前提として人との「関係」や「繋がり」を各人が意識的かつ積極的に「こうありたい」と自分が望み、かつ、他者にとっても有意義なものとなるかたち(ただし、その「意味」は各人に「共通」するものではない!)でつくりあげていく必要がある。そして、「音楽」というものは、そうした「関係」をつくり出す数ある場の1 つだと私は考えている(もちろん、これは「考える」だけではダメで、実践しないと意味がない)。