2020年10月5日月曜日

『黄昏の調べ』の詳細目次

 拙著『黄昏の調べ』(春秋社、2016年)は「現代音楽」を論じた「音楽史」の書ではなく、「美学」の書である。必要上、歴史についてもそれなりの紙幅を割いたが、そこで本当に述べたかったのはあくまでも美学的考察であり、それに基づくささやかな「提案」だ。

 以下、詳細目次をあげよう:

 

はじめに

 第1章 芸術の精神からの「現代音楽」の誕生:現代音楽とは何か

  1 不人気な音楽

  2 独創性の呪縛

  3 わかる者にしかわからない

  4 「現代音楽」とは

 第2章 昨日から今日へ:現代音楽の興亡Ⅰ――第二次大戦まで

  1 調性の黄昏:あるいは現代音楽の曙光

  2 他の惑星の空気:無調から十二音技法の発明へ

  3 逃げ去る調性:和声から音響へ

  4 素材の自由化:「外」からのクラシック音楽の解体

 第3章 ファウストゥス博士の仕事場:現代音楽の詩学

  1 〈構成〉という営み

  2 作曲の前の作曲:あるいは「作曲」の創造

  3 お気に召すまま:あるいは耳という導きの糸

  4 書き尽くしの欲望

 第4章 すばらしき新世界:現代音楽の興亡Ⅱ――戦後~六〇年代まで

  1 短くも美しく燃え:「統一」の夢とその余韻

  2 新世界より:偶然性、あるいは〈反・構成〉の思想と実践

  3 アイ・ガット・サウンド:響きの追究と音楽の多様化、あるいは拡散

  4 境界の溶解

 第5章 聴けるものと聴けないもの:現代音楽の感性学

  1 音楽そのもの:あるいはオブジェとしての音楽

  2 耳だけではわからない

  3 耳の想像と創造:「聴取の詩学」と「聴取の解釈学」の間で

  4 多様な聴き方/新しい聴き方

 第6章 宴のあと:現代音楽の興亡Ⅲ――七〇年代~世紀末まで

  1 終わりの始まり

  2 単純か、複雑か

  3 既製品への寄生

  4 鈍色の響き:あるいは「前衛」の隘路

 第7章 非人間的、あまりに非人間的な:現代音楽演奏の現象学

  1 演奏不可能な楽譜

  2 それらしく弾くこと

  3 新しい身体:演奏する身体の革新・更新

  4 反訳者は反逆者:あるいは演奏の創造性

 第8章 芸術の些か耐えられない重さ:現代音楽の行方

  1 日の下に新しきものなし:あるいは古典芸能としての現代音楽

  2 芸術から職人芸へ:あるいは「独創性」からの解放

  3 誰がために楽は鳴る:あるいはコミュニケーションの回復

  4 「現代音楽」から「現代の音楽」へ:あるいは音楽のプラグマティズム

 おわりに

 

以上である。明日から2,3回に分けて、本書の概要を示した「はじめに」を掲載することにしたい。