2020年10月1日木曜日

メモ(17)

  長らく音楽は「時間芸術」だといわれ続け、「時間」という面から音楽の本質やありようを探る試みはこれまでにいろいろあった。が、結局そこで論じられていたのは「時間性(Zeitlichkeit)」であって(「音楽的時間」などという言い方は、まさにその現れだ)、「時間(Zeit)」そのものには到達すべくもなかった。それゆえ、今やこの「古典的」問題は全く下火になっているようだが、「時間性」から具体的な音楽(作品)のありようをとらえようとすること自体はいまだに魅力的な問題であるように思われる。1つの音楽文化の枠内でのみならず、異なるもの同士を比較するという意味でも。