2020年10月9日金曜日

『演奏行為論――ピアニストの流儀』の詳細目次

序章 演奏行為への問い

 1 「作品の演奏」と「作品による演奏」

  ・「演奏家の芸術」

  ・「作品」の演奏

  ・「作品」による演奏

  ・「作品の演奏」と「作品による演奏」の絡み合い

 2 「作品」から「演奏」へ

  ・「作品」の重み

  ・演奏本位への視点の転換

  ・作曲家偏重への異議申し立て

 3 本書の構成

 

1部 演奏の諸相

 

1章 バッハをピアノで弾く:演奏の平行世界(パラレル・ワールド) 

 1 今日の学識からすれば

  ・ロマンティックなバッハ

  ・「課題はひとつ」

  ・相容れない流儀の並存

 2 多種多様な流儀

  ・バッハはピアノでは弾かない

  ・ピアノの重要なレパートリーとしてのバッハ

  ・ピアノによるバッハ演奏の分類

  ・ピアノ志向+HIP志向

  ・チェンバロ(反ピアノ)志向+HIP志向

  ・チェンバロ(反ピアノ)志向+HIP志向

  ・ピアノ志向+HIP志向

 3 演奏の平行世界:演奏の行為論に向かって

  ・「課題はひとつ」ではない

  ・複数の正しさ

  ・平行する演奏世界

  ・演奏の始点としての作品

2章 作曲家の代理人:「解釈」としての演奏

 1 演奏「解釈」

  ・「解釈」とは

  ・「謎」の文書としての楽譜

  ・謎解きとしての演奏

 2 「解釈」の目指すもの

  ・作曲家の意図

  ・作品の音像

  ・作品の構想

  ・作品の本質

  ・「真正さ」の不確かさ

  ・複数の真正さ

 3 ゲームとしての演奏

  ・解釈者は裏切り者?

  ・努力目標としての「作曲家の意図」

  ・「ゲーム」という視点

  ・音楽作品の解釈ゲーム

  ・演奏は「解釈」に尽きるものではない

3章 作品から遠く/近く離れて:「創造」としての演奏

 1 演奏における創造

  ・解釈と創造の二律背反?

  ・強い創造/弱い創造

  ・創造と解釈の関係

  ・音楽作品による創造ゲーム

 2 創造的演奏:あるいは「創造」と「再創造」の間

  ・「再」創造行為としての演奏――グールドの場合

  ・演奏自体の創造――ホロヴィッツの場合

  ・作品からの離脱――ジェフスキの場合

  ・傍流としての創造ゲーム?

 3 演奏における創造の行方

  ・ゲームに変化をもたらす契機

   (1)「作曲」のありようの変化

   (2)他の音楽ジャンルからの影響

   (3HIPの研究・実践がもたらす新たな認識

  ・「創造」と「解釈」の新たなかたち

4章 演奏それ自体:「技芸」としての演奏

 1 「技芸」としての演奏

  ・「私たちはピアニストを聴きに行ったわけで」

  ・「技芸」の魅惑

  ・演奏ゲームの中での「技芸」の位置づけ

 2 技芸の諸相

  ・前提――演奏の一回性

  ・名技志向/反名技志向

  ・完全志向-作品志向

  ・聴衆の要/不要

 3 演奏技芸の行方

  ・技芸のモードの移り変わり

  ・録音の影響

  ・コンクールの影響

  ・新旧の技芸の並存

5章 内向きの演奏、聴き手、アマチュア

 1 身を以て知る/味わう:「内」向きの演奏、あるいは根源的演奏

  ・音楽の認識、理解の場としての演奏

  ・音楽の享受=快楽の場としての演奏

  ・演奏ゲームでの位置づけ

 2 聴く意図:演奏ゲームの参加者としての

  ・演奏ゲームにとっての聴き手

  ・ゲームの選択

  ・演奏への働きかけ

  ・演奏への言及ゲーム

 3 音楽を愛でる人:演奏ゲームにおける「アマチュア」の存在

  ・「アマチュア」という語

  ・アマチュアの領分

  ・役割の違い

  ・第1部の結語

 

2部 演奏の行為論

 

6章 音楽作品の演奏ゲーム

 1 ゲーム論の構図

  ・問題の確認

  ・ゲーム論の視点

   ①ゲームと規則の関係

   ②ゲームの根拠の不確かさ

   ③ゲームの内/外

 2 音楽作品の演奏ゲーム

  ・ゲームの構成

   Ⅰ-1 音楽作品の解釈ゲーム[以下、「音楽作品の」は省略]

   Ⅰ-2  創造ゲーム

   Ⅰ-3 技芸ゲーム

   Ⅱ-1 認識ゲーム

   Ⅱ-2 享受ゲーム

   Ⅲ 聴取ゲーム

   Ⅳ 言及ゲーム

  ・諸ゲームの相対性

  ・ゲームの不確定性

 3 ゲームの営み:解釈ゲームの場合

  ・多種多様な解釈の並存

  ・部分ゲーム

  ・ゲームのネットワークとその変動

  ・ゲーム内行為の社会的分業

7章 演奏のマネジメント:演奏のコミュニケーション論

 1 コミュニケーションの場としての演奏ゲーム

  ・演奏ゲームにおけるコミュニケーション

  ・コミュニケーション観の転換――安冨歩のコミュニケーション論

  ・演奏ゲームにおける調和

 2 マネジメントという視点

  ・「マネジメント」とは何か

 3 演奏ゲームのマネジメント

  ・ある架空の事例

  ・演奏ゲームにおけるマネジメントの指針――演奏者の場合

  ・聴き手(あるいは、言及行為)のマネジメント

  ・全体の結語:たかが音楽、されど音楽――「演奏ゲーム」の意義

 

おわりに

 

補遺:演奏について考えるためのCD40