石桁真礼生(1916-96)の歌曲集をつらつらと眺めているが、なかなか面白い。どの曲にも独特のパッションが表れており、そこに何かしら惹かれる。日本語の扱いにもいろいろな工夫が見られ、そこもまた興味を引かれるところだ。
私はオペラをさほど好まないし、日本語によるオペラにはとりわけ懐疑的だが、石桁の《卒塔婆小町》(三島由紀夫『近代能楽集』中の同題の戯曲に基づくオペラ)は聴いてみたいと思った。
ちなみに私の恩師(の1人)田鎖大志郎先生は石桁真礼生の弟子である。先生もパッションに満ちた人であり(ために、学生時代に一度大げんかをしたことがある)、歌曲に力を入れていた作曲家だ。大昔に先生の歌曲を聴いたときにもそれなりに楽しめたが、今ならば数倍も面白く聴けるに違いない。