2021年5月12日水曜日

「生誕二百年を迎える音楽家群像」の「総説その8」

 金澤攝さんの「生誕二百年を迎える音楽家群像」の「総説」は順調に回を重ねているようだ。その第8回でも「演奏」という行為についていろいろと重要な指摘がなされている(https://research.piano.or.jp/series/group1821/2021/05/entry_107.html)。ここで示されているような考え方に対して、現在第一線で活躍している演奏家はどんな感想を抱くだろうか? 是非ともそれを聞いてみたいものだ。

ちなみに、どんな考え方に基づいていようと、結果としての演奏が面白ければそれでかまわないと、1人の聴き手としての私は思っている。が、19世紀までに書かれた作品については、どうもSP盤時代の録音で聴ける演奏の方が格段に面白いとも感じている。もちろん、だからといって、この現代に「昔」と同じことをすればよいとも思わないし、できるとも思わない。この時代ならではの面白い演奏のありよう――それは20世紀の音楽コンクールや「無傷の演奏録音」でかたちづくられた演奏観から脱するもの――をこれからの若き音楽家がつくり出してくれることを大いに期待している。