音楽評論家の濱田滋郎氏が今年3月に亡くなっていたことをつい先ほど遅ればせながら知った。スペインを中心にラテン音楽、文化に造詣の深い、この国ではまことに得がたい人物であった。私は必ずしも氏の書き物の熱心な読者ではなかったが、スペイン音楽に関する蒙を啓かれるのみならず、温かみのある文章にはいつも心洗われる思いがしたものである。ともあれ、ご冥福をお祈りしたい。
ところで、日本にスペイン音楽を本格的に研究している人はあまりいない(はずだ)。他の芸術分野では必ずしもそうではないのに、音楽ではなぜこんなことに……(近現代のイタリア音楽についても同じことがいえる)。まあ、今後、篤学の人が現れることを期待しよう。