2021年5月28日金曜日

鳥の歌

窓の外からは鳥の囀りが聞こえてくる。いろいろな種類の声が混じり合っており、けっこう賑やかだ。これを録音して大まかな音高とリズムを楽譜に起こし、楽器を割り当て、もっともらしい曲名と解説をつければ、「現代音楽」作品の一丁上がり!――というふうにできなくはないが、それではあまりに芸がない。

そこで、楽譜に書き上げたものを自分の感覚に従って修正したり、「動機」や「主題」のようなものを抽出した上でそれに基づいて形式や構成を整えたりすれば、いっそうそれらしい「作品」に仕上げることができよう。つくり手のセンスがよければ、十分に面白い作品がこうした創作過程を経てできる可能性はある(この場合、鳥の鳴き声はあくまでも素材や題材にすぎない)。

が、私自身はそんな面倒なことはしたくない。鳥の声を聴いているだけで十分に楽しいからだ。こちらの「見立て」ならぬ「聴き立て」よって、すべてとはいわないまでも、かなりのものが音楽になりうる(ジョン・ケージが言い、実践で示したように)。それこそ一期一会の。

 

この頃は「オリンピック」や「五輪」という語を見るだけで得も言われぬ不快感を覚える:https://lite-ra.com/2021/05/post-5901.html