2025年1月28日火曜日

B. A. ツィマーマンの《軍人たち》

  ベント・アロイス・ツィマーマン(1918-70)《軍人たち Die Soldaten》もまた、私が実演で触れてみたい20世紀のオペラの1つだ(このオペラの題名は「兵士たち」訳されることが多いようだが、登場人物の軍人の位は概ね士官なので、「兵士」という訳語は不適切である)。これは2008年に日本初演がなされているのだが、当時は貧乏のどん底で到底東京になど聴きにいけなかった。もし、これが東京などではなくびわ湖ホールで再演されるようなことがあれば、何をさておいても出かけたい(その可能性は限りなく低いだろうが、とにかく期待している)。

 このオペラを初めて聴いたのは今から30数年前のことで、Wergoレィベルから出ていたLPによってである。すぐにスコアを(当時は地方に住んでいたので、大阪のササヤ書店に書面で)注文した(これは当時の自分にとってはとんでもない大贅沢であった)が、それを手にしたときの感激は忘れられない。その後、(今は懐かしの)LD盤が出たので、これも購い(このときは中学校の教員をしていたので、すぐに買えた)、家に再生機がなかったので余所でヴィデオ・テープに録画して繰り返し観た。だが、そのうちヴィデオ再生機も壊れてしまい、さてどうしたものかと思っていると、やがてDVD出たので、以後はそれで観ている。オペラ嫌いの私がここまで執着するのは、ひとえにこの作品(とその作曲者)への興味と愛のゆえだ。

 もっとも、以前は作品に触れるのにかように手間がかかったのに、今ではYouTubeで簡単に観ることができる(https://www.youtube.com/watch?v=PUoN_ybiu2U)。なるほど、便利と言えば便利だが、こう何でもかんでも簡単に手に入るのは果たして幸せなのかどうか……。

 数種類の録音(録画)で聴いた(観た)《軍人たち》だが、一番お気に入りの演奏はやはり、最初のもの、すなわち、初演を担当したミヒャエル・ギーレン指揮のケルン・ギュルツェニッヒ管弦楽団とケルンの歌劇場の歌手陣によるものだ(これがCDで再発売されたときにすぐに買えばよかったのに、中身を知っているものだから「まあ、いつかそのうち」と思っているうちに廃盤になってしまった……)。その後に成された録音も悪くはないのだが、ギーレン盤の迫力には及ばないように思われる。