あの大震災から今日で30年。そのとき私は28歳だったから、それまでの人生よりも長い時間をその後に生きていることになるが、あの強烈な縦揺れは今でも忘れられない。
が、自分に直接関わりのなかった事柄のほとんどは忘却の彼方に。人の記憶などというものはかようにいい加減なものである。だからこそ、忘れてはいけないことについては、記憶を保持、強化することが欠かせない(その点では音楽というものはなかなかに有益な道具であろう)。もちろん、人は「忘れ去る」という能力を適宜行使しなければ生きてはいけない(私などはとりわけそうだった。というのも、過去は「黒歴史」の連続なので)。とはいえ、過去の失敗に学ぶところがなければ、いずれまた同じ過ちを繰り返すことになる。そこで「気をつけねば!」と自分に言い聞かせる。
プロコフィエフの《シンデレラ》組曲(全部で3つ)を久しぶりに聴いた。やはりすばらしい。音楽の中身は平易だが安易ではなく、凝りすぎてはいないが、ここぞというときにあっと驚く仕掛けが施してある。これが実演で聴ければなあ。