2025年1月4日土曜日

楽譜はきちんと読まなければいけない

  昨日取り上げたチャイコフスキーの《弦楽セレナード》の演奏だが、実はいずれも楽譜冒頭にある重要な指示――sempre marcatissimo――を無視している(あるいは、眼中にない)。かく言う私もそのことに全く気づかなかった。森本恭正さんに指摘されて、はじめてその指示の存在に気づいたのである(いや、お恥ずかしい)。なぜ、そんなことになったのかといえば、どの演奏を聴いてもそれがほとんど、あるいは全く守られておらず、むしろそれが普通の演奏スタイルだと思い込んでいたからだ。

 では、楽譜の指示を守るとどうなるのか。そのような演奏がないかと探してみたところ、幸い見つかった。往年の巨匠、ウィレム・メンゲルベルク(1871-1951)指揮の演奏である:https://www.youtube.com/watch?v=l8-U99FQmYk。これを聴くと、今日普通の演奏だとされるものとは大きく異なっていることに驚かされるが、楽譜に忠実なのはこのメンゲルベルクの方なのだ。そして、こうしたものを聴くと、やはり「演奏」(そして、その「習慣」――楽譜の指示させ見えなくさせるもの――の持つ力)というものについてさらにいろいろと考えさせられる。

 それにしても、やはり楽譜はきちんと読まなければいけないと痛感させられた。