2025年1月15日水曜日

菊間史織『プロコフィエフ』を楽しく再読

  菊間史織『プロコフィエフ』(音楽之友社、2024年)を楽しく再読している。いろいろな点でバランスのとれた名著だと思う。日本語で読めるプロコフィエフ関連の本が絶望的に少ないので、同書の存在はなおのこと貴重だ。何よりも、同書を読んでいるともっとプロコフィエフの音楽を聴きたくなるところがよい。 

 それにしてもプロコフィエフの「生産性」の高さには驚かされる。とにかく、寸暇を惜しんで仕事を続け、かなりの割合で名作を生み出しているのだから(その点では彼の好敵手ショスタコーヴィチも同様)。やはり偉大な芸術家は優れた職人でもあるということだろう。

 

 来年度の学生がメンデルスゾーンのピアノ曲を取り上げるので、私も勉強をしている最中。同世代のショパン、シューマン、リストといった人たちと並べてみれば、メンデルスゾーンの個性はいっそうはっきりする。ピアノ曲に限っていえば、彼の音楽は「無言歌」を除けば「反時代的」に見えるが、そうした音楽で彼が目指したものは何だったのだろう? 

 参考までにと購った「ピアノ曲全集」にCDがあるが、これは失敗だった。演奏は好みの問題なのでそれはさておき、作品が厳格に作曲年代順に収められているために、楽譜では1つの作品としてまとめられているものが見るも無惨に解体されているのだ。それゆえ、CDの収録順に聴こうとすれば楽譜の頁を何度も行ったり来たりしなければならなくなるし、楽譜の順序に従えばCDのトラック(のみならず、ディスクの番号)を激しく前後しなければならなくなるのだ。全く面倒極まりない。というわけで、このCDセット(Haensslerレィベルから出ているもの)はあまりお勧めできない。