今年生誕100年のイタリアの作曲家といえば、ルチアーノ・ベリオの名が真っ先にあげられるだろう。が、アルド・クレメンティの名も逸したくはない。それほど彼の作品を多く知るわけではないが、それらは心に安らぎをもたらしてくれる(その一例:https://www.youtube.com/watch?v=potEZaoRdWk&list=PL85v3ho5sSTaEeS1T8G1NbgubPMmtGzVA)。
気になって調べてみたところ、1930生まれの2人の作曲家が奇しくもやはり同じ2021年に亡くなっていたことを知った。1人はイタリアのパオロ・カスタルディであり、もう1人はスペインのルイス・デ・パブロである。いずれも私にとってはまことに興味深い作曲家だが、彼らの作品を実演で聴ける機会など今後まずあるまい。ともあれ、これでますます「現代音楽」が歴史の一齣になってしまった。
ところで、私がこうして「あの人はまだ存命かな?」と気になる作曲家は、概ね1940年代生まれの人までである。1950年代以降の作曲家はそれに比べてまだ若いということもあるが、そもそも、この世代以降の作曲家の作品を聴いてよいと感じたことがあまりないのだ(もちろん、中には自分が好ましく感じている人は何人かいるし、探せばこれからも見つかるだろう。そして、見つかればいいなあとは思っている)。私が「現代音楽」を聴き始めた1980年代はじめ、1950年代生まれの作曲家は「若手」だったが、彼らの作品はその前の世代の作曲家の音楽と何かが違うように感じられたものである。そして、その感じは以後も失われることはなかった。まして、その下の世代については……。その「違い」が何なのかはこれまでにもいろいろ考えてきたが、まだわからない。それゆえ、これからも考え続けていくつもりだ。