2025年2月6日木曜日

ブラームス自身によるピアノ協奏曲の編曲

  ブラームスは自身の管弦楽曲と室内楽曲の多くをピアノ4手や2台ピアノに編曲しているが、その中には2つのピアノ協奏曲もある。そして、この協奏曲の編曲にはよくある編曲とは異なる面白さがある。

 「論より証拠」ということで、まずは音を聴かれたい:https://www.youtube.com/watch?v=JuSMnPjw9ck&list=OLAK5uy_nEsxgUMuTmXGfsxdZ-uIhX89OIuYaH15I

どこがよくある編曲と違うかおわかりだろうか? ピアノ協奏曲の管弦楽部分は普通、第2奏者が担当するように編曲されている(稀には第1奏者――つまり、独奏担当者――も分担することがあるが、ごくわずかな部分にすぎない)が、このブラームス自身の編曲はそうではない。独奏が休みのときでも第1奏者は管弦楽部分に積極的に関わっており、いわば2台ピアノによる「協奏交響曲」となっているのだ(第2協奏曲の楽譜:https://ks15.imslp.org/files/imglnks/usimg/4/4b/IMSLP936487-PMLP2761-Brahms_PianoConcertoOp83_Simrock.pdf)。もちろん、第1奏者の負担はかなり大きなものとなるが、それは聴き手にとっては実に面白い2台ピアノ用作品である。それゆえ、普通の演奏会でも取り上げられる価値はあろう(1つの演奏会で2曲を取り上げ、しかも第1奏者を交替して演奏するデュオがあれば、私は迷わず聴きに行く)。