音楽作品の自律性というものが何かしら疑わしくなってしまった現在、その「同一性」を問うことは、ごく限られた音楽ゲームの中でしか意味を持つまい。かつてはそれなりに人気を博したこの問題も、今や「賞味期限切れ」というわけだ。それはもはや、どうがんばっても現実の音楽実践に追いつけない
もっとも、「音楽作品の同一性」を問うことが意味を持つ場面もある。が、それは哲学などとは無関係の極めて現実的な「物」のレヴェルでのこと。すなわち、copyrightを争う(ゼニに絡む)場面だ。
今年はビゼーの没後150年だとか。彼はピアノの名人でもあったのだが、もう少しピアノ曲を多く書いていてくれたらなあ、と(他のジャンルの名曲を聴くにつけ)思わずにはいられない。