このところ、ますます文楽への興味関心が高まるばかり。そこで、あれこれ入門書の類をご近所図書館から借り、気に入ったものは古書を購っている。とにかく、知らないことばかりなので、こうした「お勉強」は欠かせない。そして、いろいろなことを少しずつ知るにつれ、浄瑠璃という芸能とそのテキストの文藝としての面白さに魅せられるばかりだ。
少なからぬ浄瑠璃の筋書きは普通の演劇やドラマの類と比べれば「しっちゃかめっちゃか」(に見える)と言ってもよく、全く何も知らない頃は「?」の連続だったが、少しは事情を知るようになると、むしろそこが面白くなってくる(今読んでいる指南書は橋本治の『浄瑠璃を読もう』(新潮社、2012年)だが、この本自体が面白すぎる)。それだけに、これから実際の上演をいろいろ(妻とともに)観るのが楽しみで仕方がない。
ところで、この件でいろいろ読んだ入門書の類には「子供だまし」のようなものは全く見当たらなかった(おそらく、関係者が新規のファン獲得のためにかなりの力と情熱を注いでいるからであろう。いかにすばらしい芸能であろうとも、それを喜んで観る者が一定数いなければ存続できなくなるからだ)。それぞれに実によくできており、初心者として得るところが少なくないし、「もっと文楽を知りたい!」と思わされている。
そこでふと気になったのが、クラシック音楽の入門書の類である。今や先細りのこの芸能に新規ファンを獲得し定着させるような力を持った書はあるのだろうか? 残念ながらこの面ではもはや「すれっからし」の自分にはその手の本の良し悪しは判断できない。「この本を読んで自分はクラシック音楽への興味関心が高まった」という人がいれば、是非ともそんな本への感想を聞いてみたいものだ。