2025年2月13日木曜日

シュルピアニスム

  昨年、学生の論文作成につきあってブラームスの晩年のピアノ小品を眺めていたとき、ふと、「シュルピアニスム surpianisme」という語を思いついた。もちろん、「シュルレアリスム  surréalisme」のもじりである。

リストなどの「超越技巧」はどこまでもピアノという楽器を忘れさせてくれないのに対し、ブラームスのピアノ小品ではどこかピアノの現実を超えたような響きや書法にしばしば出会う。そうしたものを言い表すのに、この「シュルピアニスム」という語はうってつけではなかろうか? 

 他にもこの語が似合う作品はいろいろあろう。たとえば、超絶技巧ピアノ曲でありながら、この「シュルピアニスム」をも示しているのがアルベニスの《イベリア》だろう。なお、弾き手のことをまるで考えていないようなある種の「現代音楽」ピアノ曲については私はこの語を用いたくはない。