2025年2月14日金曜日

ブラームスのシュルピアニスムのお手本は

  ブラームスの作曲技法はベートーヴェンにも負うところが多いが、「シュルピアニスム」の点でもこの巨匠はブラームスのお手本だったかもしれない。ベートーヴェンこそはまさに「シュルピアニスム」の大家だから。

 

  チャールズ・アイヴズの「コンコード・ソナタ」は「シュルピアニスム」の格好の例であり、屈指の名作である(私がマルカンドレ・アムランによる同曲の「立派な」演奏を好きになれないのは、たぶん、このこととも関係があるように思われる)。

この曲に限らず、彼の作品には大なり小なりこの「シュル(超)」という性格(と、その土台をなす「理想主義」)があり、それがかつては多くの演奏者や聴き手を遠ざけていたのだろう。だが、逆にそこに魅せられた人たちも少なからずいたからこそ、作品が完全に埋もれてしまうことはなかったのだろう。

 ああ、この「コンコード・ソナタ」が実演で聴ければなあ。

 

 私には文楽(浄瑠璃)に「お勉強」目的で近づいたわけではない。それは純然たる楽しみとしてあるものだ。が、そこで得られる知見は、自分が関心を持って調べていたある作曲家の作品をよりよく知る上でまことに有益なものだと遅ればせながら気づく。ということは、もしかしたら、無意識の「必要」が私を文楽に引き寄せたのかもしれない。 ともあれ、今年は文楽を楽しみつつ学び、同時にその作曲家についての考察を深めてゆきたい。