が、そうはいっても、やはりモシュコフスキの本領はピアノ曲にある。そして、事実、なかなかの名曲が少なくないのだ。にもかかわらず、残念なことにごく一部の決まった作品を除けば、それが演奏会や録音で取り上げられることはない。ああ、もったいない。
ところが、なかなか面白そうなCDが近々出る。それは次のものだ:https://www.hmv.co.jp/artist_%E3%83%A2%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD-1854-1925_000000000043368/item_%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E4%BD%9C%E5%93%81%E9%9B%86-%E5%BA%83%E7%80%AC%E6%82%A6%E5%AD%90_10705929
広瀬悦子といえば、これまでにもバラーキレフやリャプノフなどの些かマイナーな作品でも優れた演奏を録音してきたピアニストである。それだけに今回のモシュコフスキも大いに期待できる。
……と思っていたら、そのサンプルをyou tubeで聴くことができた。その中には感動の名曲ポロネーズ作品17の1が含まれている:https://www.youtube.com/watch?v=cuDY1-RrREY
この曲はピアニストにとって格好のレパートリーであり、聴き手にも喜ばれること必定の名曲なのに、レオポルト・ゴトフスキのピアノ・ロール用の録音を除き、たぶん、これまで録音されたことがないのではないか。なるほど、ゴトフスキの演奏はさすがに素晴らしいが、ロール用なので細かいニュアンスがとらえられていないところがあり、また、重要な部分がなぜかカットされている。それゆえ、今回の広瀬の優れた演奏はこの曲の真価を広く知らしめるものとなろう(こうなると第2弾も期待したい。その際には作品17の3のワルツや作品24のエチュード、あるいは、これまであまり弾かれていない作品を取り上げてくれるとうれしい)。