そのためか、時折、何とも不思議な感覚に襲われる。つまり、実際の演奏がなされたのはかくも昔なのに、今は亡き演奏者と同じ時間をともに過ごしているかのような感じがするのだ。たとえば過去の美術作品を見るなり、文学作品を読むなりしても、往時を偲ぶことはできるし、描かれた題材や物語中の人物たちに自分を重ね合わせることも不可能ではない。また、楽譜を演奏したり読んだりすることでも、同じような感覚を味わうことはできよう。とはいえ、それらのいずれにしても、音楽の録音ほどには共在感はあるまい。過去に録音のかたちで刻まれた時間は、録音の再生によって聴き手の中で「再び生きる」のだ。もちろん、その内実は決して同じではないだろうが、だとしても、その場にともに居合わせているかのような感覚は味わえるわけで、これはやはり不思議かつ面白いことだと思う。
昨日に続いて吹奏楽の佳曲、木下牧子《序奏とアレグロ》を。これも昔々聴き、素直に「かっこいいなあ」と感じたものである:https://www.youtube.com/watch?v=7kYGGqT82ys
今聴いても楽しめる。
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