2020年5月7日木曜日

禍福はあざなえる縄の如し

 コロナ・ウィルス禍は当然ながら音楽の世界にもあれこれ影響を及ぼしている。演奏会はことごとく中止・延期になり、演奏家はもちろん、企画・運営に関わる人たちも相当のダメージを受けていることだろう。
 しかし、ものは考えようである。もしかしたら、これは従来の(西洋芸術)音楽の世界のありようが変わる1つのきっかけなのかもしれない。「よいものにはお金がかかるのは当然」という考え方の下で概ね一元的な価値観で営まれてきたこの音楽の世界も、すべてとは言わないまでも、何かしらそろそろ一度リセットされる時期が到来したのではなかろうか。音楽のつくり手、送り手、受け手が個人としてそれぞれに現状の中で自分なりによりよき音楽との関わり方を模索し、実現するための「好機」が訪れたのだというふうに考えられないだろうか。