というわけで、今日は久しぶりにフェルナンド・ソル(1778-1839)の作品を聴いた。用いている楽器は1つのギターだけなのに表現の広さと深さは管弦楽にも劣らない。そして、曲の構成もまことに立体的で見事。このソルは「ギターのベートーヴェン」とも称されるが、これは決して大げさではないと思う。別にソルはそれほど大胆なことをしたわけでも前衛的なことをしたわけでもない。彼の音楽は実に聴きやすく、軽やかである。が、よく聴くと、その広さや深さも実感されるのだ。
名手、山下和仁がこのソルのギター曲全集を録音している。私がそのことを知ったときには、残念ながらディスクは生産中止になっていた。が、これはいつか是非とも聴いてみたい。再生産されないだろうか(なお、山下は後年、ソルの作品で何枚かの再録音を行っている。こちらは現役なので、遠からぬうちに聴くことにしよう)。